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ワーキングマザーのらくのすけが綴るラク(1996.6生・男)とハル(2001.1生・女)の子育て日記です。


by akirakuharu

詩人・茨木のり子さん逝去

茨木のり子さんが亡くなった。

私が一番好きな現代詩人。
今朝は新聞を開いてびっくりして,
また一人暮らしの茨木さんがひとりひっそり亡くなっていたということにもショックを受けた。

最初の出会いは高校2年生の時。
現代国語の先生は教科書以外にプリントをいろいろ配ってくれる先生で
ある日のプリントに載っていたのが
茨木のり子の「汲む -Y・Yに-」という詩だった。
17歳の感受性を刺激したのは
きっと「大人になることはすれっからしになることだと思っていた」というフレーズだったのだろう。

その後学生の頃彼女の詩集を買ったりしていくつかの詩に触れ,
読みやすく,でも凛とした詩の数々に引かれた。

「自分の感受性くらい」はやはり大学生の頃の私の座右の詩って感じだった。
人のせい,何かのせいにしがちな自分の弱さと勝手さを
「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」と諭されて叱られ
ドキッとしては自省することがたびたびあった。

25歳の頃,がんで闘病中の叔母の病床にプレゼントしたのも
彼女の詩集だった。
叔母も「現代詩って難解なのかと敬遠していたけど
茨木のり子さんのはわかりやすくてでも私の世代に近くて共感も出来るわ,
教えてくれてありがとう」と言ってくれたっけ。
その叔母もその後まもなく55歳の若さで亡くなってしまったけれど。

近年にも
確か「倚りかからず」という詩集を出して
朝日新聞の天声人語にも取り上げられてたのを覚えている。

さっきまた本棚から取り出して読んでみた。
「大男のための子守唄」は,働き続ける男たちへのいたわりと
そしてこの社会への警告が込められている。

「おんなのことば」は
私たちが発する言葉は生きもするし死にもすることを
訴えているのか。

「りゅうりぇんれんの物語」のように
戦時中中国から強制連行された中国人の戦中戦後の悲惨な日々を
淡々と描く長詩もある。

どれも私を微笑ませ,励まし
社会にちゃんと目を向けないといけないよと思わせてくれる詩たち。

茨木のり子さんのご冥福をお祈りいたします。
by akirakuharu | 2006-02-21 11:35 | ワタシ